ケルトのエッセンスに触れる幻想物語の魅力
蟹座逆行水星が太陽と合圏内に入ってきましたので、
過去向きに頭のネジを捻りなおしたようなことを書きたいと思います。。。
春頃の自粛期間中に「本の整理でも…」と思って文庫本などを並べてある棚を見ていたところ、
『ケルト妖精物語』や『妖精族のむすめ』というようなタイトルの本たちを発見しました。
そのそばにはイェイツの『幻想録』というものもあって、
パラパラとページを捲ると、月の満ち欠けやその28の顕現体などについての記述があり、
占星学の12宮とも関連付けられているようです。
イェイツは1865年ダブリン生まれで、アイルランドの詩人、劇作家、批評家としての生涯を送り、
1939年に亡くなったとのことで、
ブラヴァツキー夫人主催の神智学協会に入って離脱後に、魔術師であるマッグレガー・メイザースの弟子になり、ユダヤの神秘思想を説く「黄金の夜明け団」に入会。
カバラを実践し、心霊についての調査・研究をした方のようです。
私は15年以上前にこれらの文庫本を、おもしろそうと思って購入したものらしく、
『幻想録』には読んだ痕跡がありましたが、妖精物語を集めた最初の2冊は読む時間がないまま忘れ去られ、
この春の自粛期間に久々に発掘されました
『ケルト妖精物語』はこのイェイツが編纂したアイルランドの妖精譚から収録したものだそうです。
また、『妖精族のむすめ』はイェイツと同世代のアイルランドの劇作家であるダンセイニが執筆した幻想的短編小説集で、荒俣宏さん編訳になっています。
妖精や人魚、プーカ、バンシー、レプラホーン、リャナン・シーなどアイルランド特有の超自然的生き物が、幻想的に織り込まれた作品群で、
巨人や魔女、悪魔なども当然のごとく出てきて、
農民や漁夫、戦士などが生活のなかでそれらに接したときのことや、それらにまつわる象徴的な物語が集められており、
超自然の現象が生活と地続きになっていたのであろうケルトの雰囲気が垣間見られます
アイルランドには、かつて各地方にこのような物語の口碑伝承を生涯の仕事にしていたシャナヒーShanachieと呼ばれる人たちがいたそうで、
冬の夜などに火を囲んで人々が集まる際に、暗唱して語り継がれていったもののようです。
荒俣氏の解説によれば、ケルト的想像力という自然発生的な神秘的世界観から、このような物語が生まれてきたとのことで、
たそがれ観と宇宙感覚がそこにはあるということです。
たそがれ観とは、人も神も地球も星も、すべてがいずれは滅ぶのだという穏やかなニヒリズムを指し、
宇宙感覚とは宇宙や神と自由に交感するセンシティブな感受性、オカルト的感性だそうで、
自然のもとで神秘とともに暮らしたケルト人にふさわしいものとしておられます
スウィフトやオスカー・ワイルド、ジョイスなどがこのようなケルト的感性の線上にあると考えられ、
日本では、私の敬愛する稲垣足穂や、芥川龍之介、佐藤春夫など大正末から昭和初期の日本幻想文学派の人々にも、少なからぬ影響を与えたもののようです。
冒頭のイラストはちくま文庫『ケルト妖精物語』の挿絵で、
井村君江さんという編訳者の方が、ダブリンの古本屋で掘りだした『ブリテンのボギー事典』という小冊子からとられたものだそうです。
ボギーBogieというのは妖精の総称で、英和辞典ではおばけ、悪鬼というような訳があてられています。
Nixは民話の水の精、Nixieはその女性形とのことですから、
この絵は水辺の男女の妖精を描いたもののようです。
自粛期間中、外出がことごとく中止になりましたので、
いつになく時間がたっぷりとれて、このような物語を読むことができました。
ということで、収穫のお裾分けをさせていただきました
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